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映画 ジンジャーの朝 感想

※あくまで個人的感想です。ネタバレあり。

ちなみにこの映画を観たのは3年ほど前です。

 

主人公ジンジャー役はエル・ファニング

エル・ファニングだからこそいいと感じた映画かもしれません。

ただ、ジンジャーの親友ローザを演じたアリス・イングラードも魅力的でした。この映画で初めて見ましたが、すごくいい女優さんだと思いました。

 

映画の内容は、結構重いです。

仲良しの幼馴染であるジンジャーとローザは何をするにも一緒で、お揃いの服を着て出かけることもあります。しかし2人の性格のタイプは違います。

ジンジャーはポエムを書いたり、核兵器に批判的な考えを持って反核運動に参加するなど、深い考えや思想を持った知的な面があります。

一方ローザは、付き合いでジンジャーと共に反核運動の集会に参加することもありますが、どちらかというと運動に興味はなく、恋愛に興味があります。行きずりの男とキスをしたり、タバコを吸ったりと破天荒なことを進んでします。

ジンジャーの母親とローザの母親は仲がいいのですが、ジンジャーの母親は、ローザがジンジャーに悪影響を与えていると思っています。夜遊びをたしなめる母親に対し、ジンジャーは反抗的な態度をとります。

 

元から噛み合わない部分のあったジンジャーとローザは、ある決定的な出来事で大きく関係が崩れます。

ローザの両親は離婚していて、ローザには父親がいません。だからこそなのか、ローザはジンジャーの父親に恋してしまうのです。そのジンジャーの父親というのも情けない人で、妻子がいるのに女遊びをしていて夫婦仲は良くありません。そして事もあろうに、娘の親友と寝てしまうのです。

 

父親を割と好いていたジンジャーは、この2人の関係に傷つきます。

この頃には父親と母親は別居していて、ジンジャーは父親と一緒に住んでいるので、嫌でも愛し合う自分の親友と自分の父親の関係を見てしまいます。

ローザがジンジャーの父親のために作ったパスタを食べながらジンジャーが泣く場面は胸を締め付けられます。抱き合うローザと父親の様子をみて、声を出さずに泣くジンジャーの姿は、本当にジンジャーが可哀想です。やはりエルファニングはすごいと思いました。

 

この映画で忘れてはいけないのが、冷戦下のイギリスという時代背景です。

ジンジャーは元から核兵器の脅威に怯えていますが、両親の不仲という、彼女にとって身近なところにある不安も、間接的に絡んでいるように思われます。映画の中にもあるように、心に何か大きな不安を抱え、それを誰にも打ち明けられない時、人は別のところで発散しようとするのでしょう。

不安定な世界の中で、ジンジャーは両親の事、親友に感じる違和感といった不安を抱え、父親とローザの関係が決定的な出来事となり、抱えきれない不安で押しつぶされてしまいます。

ジンジャーの母親には理解ある友人がいて、ジンジャーの爆発を受け止めてくれますが、母親はショックで自殺しようとします。

最後のシーンは、自殺しようとした母親が助かるかどうかを病院で待っているところですが、そこでジンジャーはポエムを書きます。

彼女はそれまで信じてきた世界に別れを告げます。

当たり前のようにそばにいて、一緒だと思っていた親友とは価値観が違うことに気づき、おそらく大好きだった父親も、自分の信じていた父親像とは違っていたことを思い知らされたのでしょう。

 

彼女は苦しくてもそれでも生きようと前向きな詩を書きますが、ストーリー全体としてはどうしようもなく辛いだけの話でした。

 

ジンジャーのポエムからは、彼女が信じたいと願ってきた世界に別れを告げ、自分をしっかり持った新しい世界を生きようという決意が表れています。

 

冷戦下という不安定な世界情勢のなかで大人にならざるを得なかった1人の少女の成長に、胸を打たれます。

 

邦題に関しては、私はそのままの題名を残してほしいタイプなのですが、この映画の邦題については、ストーリーをよく表したいいものだなと感じました。