ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 映画感想

TSUTAYAさんやアマゾンプライムビデオなどで評判のいい恋愛映画と認識していたため、前々からなんとなく気にはなっていた映画。

ただ、ビフォア・サンライズDVDの写真だけでは俳優がわからず、なんとなく見ないままでいましたが、今回ようやく観るに至りました。

 

一言では言い表せないほど好きな映画になってしまったので感想を書くのにも少々躊躇しますが、書ける範囲で感想を書きます。

 

 

 まずはこの映画について簡単に紹介します。知らない人向けなので聞くまでもないという方は読み飛ばしてください。

 

1995年に公開された“ビフォア・サンライズ”は実はシリーズ化され、現在は3部作となっています。“ビフォア・サンライズ”の9年後に公開されたのが第2作目の“ビフォア・サンセット”でそのまたさらに9年後の2014年に公開されたのが第3作目の“ビフォア・ミッドナイト”です。私は“ビフォア・サンライズ”を最近観たのですが、どハマりしてしまい一日おきに3本とも観てしまいました。

第2作目の“ビフォア・サンセット”と第3作目の“ビフォア・ミッドナイト”は監督だけでなく、主演のジュリー・デルピーイーサン・ホークも脚本に関わり、アカデミー賞脚本賞でノミネートされていたりもします。

 

今回はビフォア・サンライズにとどまらず、サンセットとミッドナイトも含めた感想になるのでまだ観たことのない方はお気をつけください。

ネタバレありです!

 

では先にビフォア・サンライズ単体の感想を書きます。

 

ビフォア・サンライズ

ストーリーは簡単にまとめると、ヨーロッパの列車で出会ったアメリカ人ジェシーソルボンヌ大学に通うフランス人セリーヌが意気投合して一日を共に過ごすことでお互いを好きになる話し。

 

ジェシーからセリーヌに話しかけ、しばらく話すと2人は気が合うことがわかる。

 

会話が弾んでいたところ、ジェシーが降りる予定になっていたウィーンに到着。

ジェシーは一旦セリーヌと別れて列車を降りるも、セリーヌともっと話すために列車に戻り、セリーヌに自分と一緒にウィーンを一日観光しないかと誘う。

 

ここでジェシーセリーヌを説得するのに、

 

      いつか君が10年後、20年後に結婚して夫に不満を持ったとき、君はそこで今まで出会った男を思い出すんだ。その1人が僕なんだ。そして君はいつだったかウィーンで一緒に降りた男もやっぱりつまらない男だったと思い、安心して夫と過ごせるんだ。

 

て言うんです。この映画は主に2人の会話で成り立っていて、ひたすら会話を聞くだけでも飽きないような、興味深い話がたくさん出てきますが、この時点ですごい。

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  • バスでの質問

ジェシーと一緒に列車を降り、ウィーンの街に繰り出したセリーヌ

2人はバスに乗り、お互いによく知るために質問し合う。

 

ここではバスで隣同士で座っているため、話をするうちに距離が近くなったり、ジェシーセリーヌの髪に触れようとするところもあり、まだ慣れないものの恋の予感が伝わってきてすごくいい!

初々しい2人の距離感がうまくでています。

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  •  レコード店  視聴室で

セリーヌジェシーはあるレコード店に入る。そこには視聴室があり、ある曲を2人で視聴室に入って聴く。曲を聴くあいだ2人は狭い視聴室の中でお互いにお互いの顔を見ようと、相手が見ていない隙に相手に視線を向ける。

 

ここでの視線の向け合いには見ているこっちまで気恥ずかしくなるような初々しさがあります。

ジェシーを盗み見るセリーヌの表情や仕草の可愛さと、ジェシーのニヤけっぷりがいいです。

 

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  • あるお墓にて

セリーヌジェシーはあるお墓にたどり着く。

そこはセリーヌが子供の頃に来たことがあるお墓だった。そのお墓に埋められているのは船の事故で亡くなった人や自殺した人だという。そのほとんどが身元不明の者だった。

 

 

ここでセリーヌは死に対する考えを話します。

 

“誰も知らない死”ってステキだわ。家族も友達も私の死を知らないのは死んでないのと同じ。私は消えただけ。

 

セリーヌは他にも何度か死を恐れていると話す場面があります。ブダペストの祖母の家から自身の住むパリに戻るのに列車を使うのも列車の方が事故死する確率が低いからだと言っていました。また、列車の中で読んでいたのも、確か死に関する本だった気がします。

会話を追ううちに、セリーヌは死ぬ瞬間を恐れていることがわかってきます。

 

  • 観覧車でのキス

セリーヌジェシーは遊園地の観覧車でウィーンの街並みを眺める。

時刻はもう日暮れの頃。ジェシーは落ち着かぬ様子でセリーヌに、美しい眺めだ、キスするのにもってこいの場所、状況であると言う。

2人は美しいウィーンの街の夕暮れに観覧車でキスをする。

 

 

ここでジェシーはキスをしたいと言うものの、自分からしようとはしません。まだ迷いがあるようです。

してもいいだろうか、セリーヌは嫌がらないだろうか。

ジェシーがそんなことを気にしているうちに、セリーヌからどんどん距離を詰めていきます。

 

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ジェシー:素晴らしい眺め、サンセット、観覧車、まるで…

セリーヌ:なあに…?

ジェシー: あぁ…わかるよね、ほら…

セリーヌジェシーに顔を近づけ、

セリーヌ:私とキスがしたいの?

ジェシー、そう!そういうことなんだ…と頷くだけでどうしていいかわからない様子。

 

そしてセリーヌからジェシーにキスするという流れです。

実際に観ないとこのステキな場面のよさがよくわからないと思いますが、会話はこんな感じでした。

セリーヌジェシーと視線を合わせ、顔を近づける一連の様子や、意外にも慣れない様子で戸惑っているジェシーが可愛いです。

 

  •   カフェで占ってもらう

 カフェで他の客が占い師に占ってもらっているのを見る。占い師と目が合い、セリーヌが手相を見てもらう。占い師はセリーヌが望んでいるように強い女性になると言い、ジェシーは知らない人だね、と言い当ててほとんどジェシーの手相は見なかった。

 

ここで占い師に気付く前に、ジェシーが秘密を教えるよ、近くに寄って、と言ってセリーヌが顔を近づけるとキスする場面があります。大分打ち解けて、さっき観覧車でキスしたためか、余裕が出てきた感のあるジェシー

 

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でも占い師がきて去っていくとジェシーはちょっと気を悪くします。

占い師はセリーヌにとってジェシーは見知らぬ人だね、と言い、ジェシーの手相はちょっと見ただけで、ああ、彼は学んでいるから大丈夫、とだけ言いなんとなくジェシーに冷たいというか、どうでもいい扱いでした。

 

 占い師に強い女性になると言われて嬉しそうなセリーヌの表情が可愛いです!

とりあえずどんなときでもセリーヌがひたすら可愛い。

 

 

  •  教会にて 

教会でセリーヌは宗教に否定的であること、それでも教会にくるとその美しさに魅せられ、神を信じ、救いを求めて教会にくる人の気持ちがわかると話す。ジェシーにおばあさんを好きか聞かれたセリーヌは、自分自身に持つイメージが身を横たえて死を待つ老婆だと言う。

ジェシーは教会でただひたすら見つめ合うことで結婚するクエーカー教の話をする。

セリーヌを見つめるジェシー。ステキね、と言って目をそらすセリーヌ

 

ここでもセリーヌは死について話します。

そして、自分が老婆のように感じると言うセリーヌに対しジェシーは、不思議だ、自分は大人になる方法がわからず、まだ13歳くらいに思えるといいます。

セリーヌは、おもしろいわね、それじゃあさっき観覧車では老婆が坊やにキスしたのね…と返します。

 

そこからクエーカー教の話になりますが、ここで初めてセリーヌジェシーの間にこれからの2人についての問題が浮かび上がってきたように思います。

 

だんだんと惹かれあっていくものの、2人には今日1日しかありません。

セリーヌを見つめるジェシーはこれからも一緒にいたいとそれとなく伝えているのだろうと思います。

それに対し、目をそらすセリーヌは、恐らくこの時点でパリに住む自分とアメリカに住むジェシーでは付き合えないと考え、これからの2人については約束すべきでないと思っているように感じられます。

 

セリーヌに目をそらされ悲しそうなジェシーは、

無心論者の友人がホームレスに札束を見せながら、神を信じるかと聞き、信じると答えたホームレスに不正解でしたと言って車で去った話をします。

 

ジェシーはよくたとえ話をしますね。

 

  • 川沿いを歩く2人、ステキな詩

ぴったりと寄り添って川沿いを歩く2人は、お互いにどこが頭に来るか聞きあう。ジェシーはかわし、セリーヌジェシーの占いの時の態度が嫌だったと言う。そこで宿無しウィーンの詩人風青年(ちょっとひどい言い方ですね、ごめんなさい)が2人に声をかけ、詩を書くから気に入ったらお金をくれ、あと詩に使う言葉を一つ選んでほしい、と言う。

セリーヌは占いの時のジェシーの態度がミルクシェイクが欲しいのに買ってもらえないと不貞腐れるわがまま坊主だと話していた流れから、ミルクシェイクを使って詩を書いてもらう。

 

ここでの2人はジェシーセリーヌの手をもてあそび、しきりに手を握りたがります。セリーヌはその手を解いて腕を組みジェシーに寄りかかるのですが、やっぱりここでも可愛い。

 

そして、肝心の詩はとてもステキなものでした。

今回は死ではなく詩です。

それもステキな詩。

ドヤる詩人もいい味出してました。

セリーヌは素直に感動し、ジェシーは前に作った詩にミルクシェイクを当てはめただけではないかとちょっとひねくれたことを言います。

 

ジェシーは言わなくてもいいようなことを言ったり、ちょっと子供っぽいところがあるのを感じます。

それでもセリーヌのロマンチックなものに素直に感動する純粋な可愛さが際立っていいのですが。

 

それから詩が完成するのを待っている間にジェシーがゲームが好きだ、競争心があるからね、勝ちたいって思う気持ちがね、と言うとセリーヌは、それじゃだから私を列車から降ろしたの?と言います。ジェシーがどういう意味?と聞き返します。

ここで詩が完成し、話は流れてしまいますが、ここでも2人の関係性をどう捉えるべきかという、表には出さないものの2人のなかで確実にある疑問が見え隠れし出します。

セリーヌジェシーの本心を探り出そうとし始めました。

 

  •  あるクラブにて

とあるクラブに入った2人。玉当てゲームのようなものをしながら2人はここで初めてお互いに恋人の有無を聞きあう。

 

2人はお互いに今は恋人がいないことを知ります。

セリーヌは恋人を殺す女の話を精神科医に話したときのことを話します。

ジェシーは今回ヨーロッパに来たのがマドリードの恋人に会うためであったこと、相手がもう自分と別れたがっていて自分から別れを切り出し、別れて旅をしていたことを打ち明けます。

 

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ジェシーはこの話のときもでしたが、話をそらしたり、すり替えたりするところがあります。

これはビフォア・ミッドナイトにつながるジェシーの性格でもあり、他にもありますがこうしたことが後々思い出されてきます。

 

セリーヌに関しては、この場面ではありませんが、よくフェミニズムというか、いかに男性優位の世の中であるか、力では男にかなわないものの、女性がいかに強いかについて語ったりします。それからよく男を殺す女の話をします(笑)

 

 

  • あるレストランにて 電話ごっこで告白

レストランでセリーヌが友人に電話すると言い出す。実際には本当に電話をするのではなく、電話ごっこ。ジェシーに電話に出るように言い、友達にジェシーの話をしている体でジェシーに告白する。

次はジェシーが友達に電話するフリでセリーヌに告白する。

 

 

ここでセリーヌは友達役のジェシーに、その男と付き合うつもりなのかと聞かれ、その話はまだしてないの、と言います。

心配そうなジェシー

まだ真意を問いただすことは後回しにする2人。

 

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ただお互いに好き同士であることはこれでわかりました。

 

 

  •    夢のような時間 私たちのこれからは〜  建物の屋上そして船の上にて

ある建物の屋上で2人はこの時間がまるで夢のようだと言い合う。

船の上に場所が変わり、2人は今後の2人についてようやくちゃんと話し出す。

 

 

セリーヌは建物の屋上でこんなことを言う。

 

明日の朝になれば私たちはカボチャに戻ってしまう。せめて今は私にガラスの靴を履かせて。

 

船の上では、

 

私たちは理性のある大人よ。付き合えるわけがないのはわかってるよね。私たちには今夜しかなくてもいいじゃない。だって連絡先を交換しても一度か二度連絡してそれで終わりになってしまう。

 

と言い、今夜一日しかない今を楽しもうということに話は落ち着きます。

 

ここだけ見ると、セリーヌジェシーを好きなものの、遠距離は無理だと諦め、2人の仲を今夜だけに留めようとしているように見えます。

ただ後々ビフォア・サンセットの方まで含めると、セリーヌは本心を言わず、反対のことを言ったり、相手を探ったりするところがあるのがわかります。

そのため後々考えると、ジェシーから付き合いたい、また会おうと言ってくれるのを待っていたのだろうかとも思えてきます。

しかし、この時点ではまだロマンチックな1日の夢を壊さないように、1日限りの関係を望んでいたのかもしれません。

どっちかはわかりませんね。

 

  • 夜の公園にて

2人は夜の公園でなんとか手に入れたワインを飲みながら隣同士で寝そべって星を眺めている。

話の流れでセリーヌジェシーと寝るかどうかの話を切り出し、キスして欲しいという。

 

 

ここでもセリーヌから果敢にも2人の問題に切り込んでいきますが、その段になってから躊躇します。

 

やっぱり寝るべきじゃない、だって今日しか一緒にいられないのに後々思い出して寂しくなるもの…と、これまたセリーヌが可愛いことを言います。

 

ジェシーはそれじゃまた会えばいいと言いますが、寝るために大人の理性の約束を破るのはだめとセリーヌは返します。さっき船で付き合うことを約束したり期待しないと約束したばかりでした。

わかった、寝ることはそんなに重要じゃないとジェシーが言うと、セリーヌは、オッケーと初めは言うものの、しばらく間を置き、私とまた会いたくないの、とちょっぴり拗ねたように言います。

 

ジェシーは笑って、そんなことはないと言い、セリーヌはまた自らキスしにいき、2人は結局寝ます。

 

 

  • 夢から覚めた、現実の朝

2人は朝になって夢から覚めてしまったことを嘆く。

ある建物から聴こえてきたハープシコードの曲に合わせて踊り、お互いにじっくり見ることで記憶の写真に残す。

場所が変わり、階段に座るジェシーの膝に頭をのせてジェシーを見つめるセリーヌ

 

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別れるのを惜しむ2人の気持ちが伝わり、本当にこのまま2人は別れちゃうの?と心配になります。

 

 

  • 駅のホームにて、遂にきた別れの時

とうとうやってきた別れの時、ようやくこのまま離れ離れになりたくないと本心を伝え合う2人。

ももう列車は発車してしまう。

慌ただしく、出会った昨日から6ヶ月後に再び同じ場所で会おうと約束する。

 

別れを惜しむものの、恋が覚めてしまわぬよう、連絡先を交換せずに別れる。

 

2人は、夢のような出会いと共に過ごした1日の余韻に浸りながら、6ヶ月後に再び会う希望を胸に、それぞれの帰路につく。

 

 

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これでおしまいです。

本当に連絡先交換しなくていいの?と、こっちが心配になりますよね!

6ヶ月後、本当に会えたのかどうか、ビフォア・サンライズではわかりません。

 

ここで終わっているのが、映画の余韻に浸れるためステキだと思います。

 

ビフォアシリーズ3つを通しての感想もここで書くつもりでしたが、思ったより長くなったので今回はやめておきます。

付け足しておくと、キャラクターについてはセリーヌは積極的でジェシーは意外と躊躇して、頼りない、子供っぽいところもあると言う印象を受けました。

でもそれだけではないのでまた今度今回書けなかった部分も書こうと思います。

 

 

結構書くの疲れたので、また書くのはしばらく間が空きそうですが、よかったらまた読んでください!

 

※画像はネットからお借りしました。

会話の抜き出しは雰囲気は合ってると思いますが、一字一句正しく書いたわけではないのでご注意ください。